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1960年12月。
初代グランドセイコーが誕生したとき、その精度についてある基準が設定された。
最高の腕時計をつくるために、当時の高精度な高級時計のための
国際的な規格と同等の水準を、自らに課したのだった。そして、現在。
グランドセイコーの機械式ムーブメントの開発にあたっても「新GS規格」が
つくられた。それは初代モデルが挑んだハードルよりも高いハ−ドルだった。 |
高精度=複雑な機構?
グランドセイコーの9Sメカニカルムーブメント。その開発者がめざしたのは
「実用的な機械式時計」。つまり、特別に気を使わなくても高精度を維持できる
機械式時計だった。それなら、複雑な機構よりもシンプルな構造のほうが
有利である。ただし、そのためにはすべての部品の加工精度を徹底的に
高める必要があった。それが実現できたのは、現代の進化した機械工学と
名人と呼ばれる職人たちの存在があったからだ。 |
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歯磨きの名人。
部品の加工精度についてひとつ例をあげれば、それは歯車。限られた力を効率よく伝達するために、深さ100分の6ミリの溝を、
職人がひとつひとつ丁寧に磨き上げる。気が遠くなるような話だが、これが少しでも狂うと、実用的な高精度は実現できない。
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精度を支える「柱」。
機械式時計の精度を左右する決定的な部品はテンプ(調速機横)の中にある
「てん輪」。その重量は0.000001g単位で調整されるほどの微細な部品ではあるが、
この回転が安定するかどうかが重要だ。問題は熱による膨張で支柱が伸びると
「てん輪」が微妙に変形してしまうこと。これを解決するために、普通2本か3本の
支柱を4本にした。もちろんこの部品をつくる手間は格段に増えてしまったが。
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美しいひげ。
てん輸にとりつけられるひげゼンマイの調整。職人が先の尖った手作りのピンセットで、
てん輪が正確に動くために必要なひげゼンマイの美しい曲線を整えていく。
その力加減はあまりに繊細なため、機械ではできない。
ここでもやはり職人の天性の勘と経験がものを言う。
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マニュファクチュールSEIKO。
時計づくりをムーブメントの設計からおこなう時計ブランドは、世界にも
ごくわずかしかないが、高品質なゼンマイ(ひげゼンマイと動力ゼンマイ)を自社グループで研究、開発しでいるところは、さらに少ない。
SEIKOがこの小さなパーツにこだわる理由は、それが高品質な機械式ムーブメントの安定した精度を決定づける大切な要素だから。
20世紀の初頭から腕時計をつくり続けてきたマニュファクチュールSEIKO。
その歴史と誇りは、このグランドセイコーの9Sメカニカルムーブメントに凝縮されている。 |
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常識を捨てる。
9Fムーブメントはグランドセイコーのためだけに開発されたクオーツムーブメント。
開発者たちが目指したのは、単に高精度なムーブメントではなかった。腕時計の本質とは
なんだろう。グランドセイコーはそれを愛用してくれる人々に何を提供するべきだろう。
長い議論の果てに得られた結論は、きわめてあたりまえのことばかりだった。
正確であること。時刻を読み取りやすいこと。一生つきあえる時計であること。
しかし、このあたりまえのことを徹底的につきつめた結果、9Fムーブメントは
「薄くて軽い」というそれまでのクオーツムーブメントの常軌を捨てることになった。 |
重量オーバー。
まずこの9Fムーブメントの開発で、技術者に最初に突きつけられた
難題は針だった。初代のグランドセイコーのような太く堂々とした針を
回したい。しかしその重量はそれまでのクオーツムーブメントが
動かせる限界を超えていた。そして開発されたのが、エネルギーを
節約しながら重い針を動かすことができる「ツインパルス制御モーター」。
しかし難題はそれだけでは終わらなかった。 |
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瞬きより早く。
夜も遅くなると、腕時計のカレンダーの窓の中の数字がずれはじめ、12時を過ぎてやっと正しい日付になる。これではとっさのときに日付がわからない。
日付を瞬間的に切り替えるカレンダーは、トルクの強い機械式時計ではいくつか例があるがクオーツ式の時計では前例がなかつた。
前例がなければつくればいい。いくつかの機構が試作され,2000分の1秒で切り替わるカレンダーが、クオーツ式の時計にはじめて搭載された。
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震える秒針。
歯車は「遊び」がなければ回転できない。しかしその「遊び」が秒針の衰えの原因になる。
この震えを押さえる機構は従来からあったが、その効果にグランドセイコーの開発者たちは満足しなかった。そして
「バックラッシュ・オートアジャスト機構」という新しい方式が開発された。
秒針の的確で美しい動きを実現したこの機構には、機械式時計の心臓部を構成するひげゼンマイが使われている。
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クオーツは調整できない?
たしかにほとんどのクオーツムーブメントには調整する方法がないが、この
9Fムーブメントには「緩急スイッチ」という機構が搭載されている。使いはじめて数年を経て、
年差レベルでの進み遅れの傾向がはっきりしたときに、使うためのものだ。
ただし、このムーブメントに使われる水晶振動子は特別なテストやエージングを経た「エリート」ばかりなので、
この「緩急スイッチ」の出番はあまりない。
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540回の検温。
クオーツの水晶振動子は温度変化に弱い。1秒間に32,768回という振動数が、
温度によって上下してしまうのだ。これをそのままにしておいては年差の精度が確保できない。
そのために、9Fムーブメントは時計内部の温度を1日に540回、センサーで測り、
水晶振動子の基準からずれた振動数を検知し、その誤差を補正している。
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| ※掲載内容は2005・6月製造元資料による |